中谷美紀・阿部寛
あらすじ: 窓から通天閣の見える大阪・飛田の小さなアパートで、幸江(中谷美紀)は内縁の夫であるイサオ(阿部寛)と暮らしていた。元ヤクザのイサオはまともに勤め
ることもなく酒とギャンブルに溺れ、幸江が近所の中華料理屋で働くことで生計を立てていた。無口で気性の荒いイサオは、ことあるごとに部屋のちゃぶ台を
ひっくりかえす。それでも、ひたすらイサオに尽くす幸江の健気さに、隣の住人である小春(カルーセル麻紀)は胸を痛めていた。一方、中華料理屋の主人(遠
藤憲一)は秘かに幸江に思いを寄せて、プロポーズの機会をうかがっている。そんなある日、幸江の中学時代に逮捕された父親の家康(西田敏行)が出所して、
幸江のもとに現れる。妻に家出された家康は、キャバレーのホステス(名取裕子)を口説いて、その再婚資金を得るために銀行に押し入ったのだった。イサオ
は、ふたたび暴力団の組員となる誘いを組長(竜雷太)から受けていた。と、幸江の妊娠が発覚する。親もヤクザでその血を受け継いだイサオは苦悩のあげく、
失踪してしまう。それでもイサオの子供を産もうと、身重な身体で必死に働き続ける幸江。しかし、誤って歩道橋から転落した彼女は救急車で病院へ運ばれた。
手術を受け、ベッドで昏睡する幸江は過去の日々を思い出していた。貧乏だった幼い日。父の逮捕後、唯一の友人として励ましてくれた同級生の熊本さん。覚せ
い剤に溺れて、自分の肉体を売っていた若き日々。そんな頃、チンピラ時代のイサオと知りあった。イサオは、組長に盃を返して小指を詰め、幸江と一緒になっ
た。そして、二人で海に行った幸せな新婚時代…。意識が戻ったとき、幸江の前にはイサオがいた。「三人で、海へ行こう」イサオの言葉に、幸江は涙が止まら
なかった。半年後、生まれたばかりの赤ん坊と一緒に、海辺でたたずむ幸江とイサオの姿があった。
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